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最高裁判所第一小法廷 平成6年(行ツ)13号 判決 1994年4月21日

大阪市住之江区住之江二丁目一一番一三号

上告人

中条照子

大阪市住吉区住吉二丁目一七番三七号

被上告人

住吉税務署長 宇都宮永吉

右指定代理人

村川広視

右当事者間の大阪高等裁判所平成五年(行コ)第一〇号所得税更正処分取消請求事件について、同裁判所が平成五年九月二八日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立てがあった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、違憲の主張を含め、独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小野幹雄 裁判官 大堀誠一 裁判官 三好達 裁判官 大白勝 裁判官 高橋久子)

(平成六年(行ツ)第一三号 上告人 中条照子)

上告人の上告理由

上告人は本件各土地(地裁判決文書別表1)を譲渡をするにおいて、措置法三一条の<3>の適用を受ける目的で、被上告人資産税課と事前打ち合わせをして、計画的に売却する準備をした節税行為を行ったものであり、租税回避行為を目的にしたものでもなく、被上告人が述べるような本件各土地に住宅を建築する目的で明け渡しを受けたものであると判断するのは適当でないし、結果的に他者へ譲渡することになったものでなく、最初から他者への譲渡をする目的をもって、被上告人の指導により更地とし、又本件各土地が『耕作されていないとしても、いつでも簡単に復旧して耕作することが出来る土地』であるという状態において譲渡したものであることは被上告人が一旦了承したものである。

又被相続人の本件各土地に対する使用状態及びその行為に対する評価は、相続税で評価されるものであり、相続人の譲渡時に対する本件各土地の使用状態及びその行為に対するその評価は、相続人に対する譲渡時点の評価をもって行うべきであるが、被上告人のその評価は非相続人の既にこの世に存在していない人のなした行為、すなわちその行為が存在しない行為を評価しているものであり、その行為をもって相続人即ち上告人が行った行為に対する評価であるとするのは、憲法三〇・八四条租税法律主義に照らしても、自由裁量規定等の導入の禁止・通達の法源性の否定・類推解釈の禁止・行政先例法・納税者に不利益となる法律不遡及の原則・疑わしきは納税者の利益のためにと税法の執行機関である税務行政庁や裁判所の恣意的判断を防止し国民の人権を擁護しようとする法律に照らしても到底納得出来るものではない。

以上

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